エッセイvol.1 「入梅」

時を刻むエッセイ集

週明け、野菜やお肉を買いにスーパーへ行きました。

梅雨入り前の太陽が顔を出していて、風が心地良い午前11時の街。

快活な歩幅で通りを行く人たちとすれ違いながら、ますます街路樹の緑が深まるのを眺めると夏が近いのを覚えました。

買い物を終えてお店の外に出ると、空模様は一変して、広がる灰色の雲が・・・。

もうすぐ梅雨入りとのこと。

本格的な夏のまえに、先ずは梅雨前線のお出ましです。

雨の日ばかりではメランコリックな気持ちになったり、心が沈むような時もありますが、この季節ならではの木々や花々の美しさに目を向け、雨のなかを健気に息づくちいさな鳥や虫たちに関心を寄せてみると、『自分もいま、ここで生きている』という実感が湧いてきて心穏やかになり、ほっとします。降りしきる雨の中、紫陽花やくちなしの花が咲き、時折カエルが飛び跳ね、梅雨晴れには鳥たちの澄んだ鳴き声が聞こえてきます。家の中では、湿度が高い日にくゆらせる香の匂いがひとしお甘く感じられます。

刻まれていく時の流れの中で生じる何気ない現象に共鳴する自分の気持ちが、心身を解き放ち、安けさを与えてくれるようです。また、それが自分自身の体調を意識するきっかけとなるように思います。花をめで、鳥たちや虫たちの鳴き声に少しでも耳を傾け、風や空気の匂いに心を預けることは、人の情緒を安定させてくれるからでしょう。

同時に、いまこの季節を生きている自分の体が必要とする食事はどんなものか、関心を持つことの大切さについて、一度立ち止まって考えてみました。ここから、明日に向かっていく喜びや意欲を増し加えていきたいものです。

鬱陶しいような梅雨の日々も、それに左右されない明日の自分を整えてくれるのは、複雑な課題ではないのだと思います。ぜひ、旬の食物や、この季節特有の体の疲れを回復させるような食材を探し求めて、心身ともに健やかに、そして穏やかに、梅雨シーズンを過ごしていきたいものです。

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